Solaris のシステム管理 (基本編)
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第 8 章 システムのシャットダウンとブートの概要

Solaris オペレーティングシステム (Solaris OS) は、電子メールとネットワークリソースをいつでも利用できるように、停止することなく動作するように設計されています。この章では、システムのシャットダウンとブートについて概要を説明します。

この章の内容は次のとおりです。

Solaris リリースで利用できるすべてのブート機能および方法の概要は、第 9 章システムのシャットダウンとブート (概要)を参照してください。

Solaris システムのブート手順については、第 12 章Solaris システムのブート (手順)を参照してください。

システムのシャットダウンとブートに関する新機能

この節では、この Solaris リリースでの新しいブート機能について説明します。Solaris の新機能の一覧および Solaris リリースについての説明は、『Solaris 10 の概要』を参照してください。

Solaris リリースのインストールおよびブートでの 2T バイトディスクのサポート

Solaris 10 10/09: 以前の Solaris リリースでは、1T バイトを超えるディスクに Solaris OS をインストールしてブートすることはできませんでした。この Solaris リリースからは、最大 2 T バイトのディスクに Solaris OS をインストールしてブートできます。以前のリリースでは、1T バイトを超えるディスクには EFI ラベルを使用する必要がありました。このリリースでは、どのサイズのディスクでも VTOC ラベルを使用できます。ただし、VTOC ラベルでアドレス指定可能な領域は 2T バイトに制限されます。

詳細は、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』「ディスク管理の新機能」を参照してください。

ZFS ブートのサポート

Solaris 10 10/08 リリースには、ZFS TM インストール、および ZFS ブートサポートが含まれます。ZFS ルートファイルシステムをインストールしてブートできるようになりました。この実装は、SPARC と x86 の両方のシステムに適用されます。ブート方法、システム操作、およびインストール手順は、この変更をサポートするように修正されました。

詳細は、「ZFS ルートファイルシステムからの起動」を参照してください。

x86: 新しい findroot コマンド

Solaris Live Upgrade など、すべての Solaris インストール方法では、ブート対象の x86 システム上のディスクスライスを指定する際に findroot コマンドを使用するようになりました。 この実装は、UFS ルートだけでなく ZFS ルートを含むシステムのブートにも適用されます。以前は、root コマンド、 root (hd0.0.a) を使ってブート対象のディスクスライスを明示的に指定していました。この情報は、GRUB で使用される menu.lst ファイルに格納されています。

GRUB menu.lst エントリのもっとも一般的な書式は次のとおりです。


findroot (pool_rpool,0,a)
kernel$ /platform/i86pc/multiboot -B $ZFS-BOOTFS
module /platform/i86pc/boot_archive

詳細は、「x86: findroot コマンドの実装」を参照してください。

bootadm コマンドによるプラットフォーム指定のサポート

bootadm コマンドに -p オプションが新たに追加されました。

このオプションを使用すると、クライアントプラットフォームがサーバープラットフォームと異なる場合 (ディスクレスクライアントを管理している場合など) に、クライアントシステムのプラットフォームまたはマシンのハードウェアクラスを指定できます。


注 –

-p オプションは、-R オプションと組み合わせて使用する必要があります。



# bootadm -p platform -R [altroot]

次のいずれかのプラットフォームを指定します。

  • i86pc

  • sun4u

  • sun4v

詳細は、bootadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

再設計された Solaris SPARC ブートストラッププロセス

Solaris SPARC ブートストラッププロセスは、Solaris x86 ブートアーキテクチャーとの共通性を高めるために再設計されました。

そのほかの機能拡張として、ブートアーキテクチャーの改善があげられます。DVD、NFS、または HTTP からシステムをブートできるだけでなく、追加のファイルシステムタイプ (ZFS ファイルシステムなど) やインストール用の単一のミニルートからもブートできるようなりました。これらの機能拡張により、SPARC システムの柔軟性が向上し、保守の必要性が軽減されます。

この再設計の一貫として、以前は Solaris x86 プラットフォームでしか使用できなかった Solaris ブートアーカイブと bootadm コマンドが Solaris SPARC ブートアーキテクチャーに不可欠な要素となりました。

SPARC と x86 のブートアーキテクチャーの主な違いは、ブート時のブートデバイスおよびファイルの選択方法です。SPARC プラットフォームでは、引き続き OpenBootTM PROM (OBP) を主要な管理インタフェースとして使用し、OBP コマンドを使ってブートオプションを選択します。x86 システムでは、BIOS と GRUB (GRand Unified Bootloader) メニューを介してブートオプションを選択します。


注 –

Solaris SPARC ブートの実装は変更されましたが、SPARC システムをブートするための管理手順にはまったく影響はありません。システム管理者が行うブート作業は、ブートアーキテクチャーを設計し直す前と何も変わりません。


詳細は、boot(1M) および bootadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

また、このマニュアルの 「新しい Solaris SPARC ブートアーキテクチャーについて」も参照してください。

x86: 電源ボタンによるシステムシャットダウン開始のサポート

x86 システムで電源ボタンを押して離すと、システムの正常なシャットダウンが開始され、システムの電源が切れます。この機能は、init 5 コマンドを使ってシステムをシャットダウンするのと同等です。一部の x86 システムでは、BIOS の設定によって、電源ボタンを押してもシャットダウンが開始されない可能性があります。電源ボタンを使ってシステムの正常なシャットダウンを実行できるようにするには、BIOS を設定し直します。


注 –

1999 年よりも前に製造され、かつ古い Solaris リリースが稼働する一部の x86 システム上では、電源ボタンを押すとすぐにシステムの電源が切れてしまい、正しくシャットダウンされません。acpi-user-options によって無効化された ACPI サポートを使用して稼働しているシステム上で電源ボタンを押しても、これと同じ動作が起こります。

acpi-user-options の詳細は、eeprom(1M) のマニュアルページを参照してください。


シャットダウンとブートについての参照先

システムをシャットダウンおよびブートする手順については、次を参照してください。

シャットダウンとブート作業 

詳細 

SPARC システムまたは x86 システムのシャットダウン 

第 10 章システムのシャットダウン (手順)

ブート動作の変更 

第 11 章Solaris ブート動作の変更 (手順)

SPARC システムまたは x86 システムのブート 

第 12 章Solaris システムのブート (手順)

Solaris ブートアーカイブの管理 

第 14 章Solaris ブートアーカイブの管理 (手順)

SPARC または x86 システムでのブート動作のトラブルシューティング 

「SPARC プラットフォームのブートのトラブルシューティング (作業マップ)」

シャットダウンとブートの用語

この節では、シャットダウンとブートに関する用語について説明します。

実行レベルと init 状態

「実行レベル」とは、システムの状態を表す文字または数字のことで、どのシステムサービスを使用できるのかを示します。システムは常に定義済み実行レベルの 1 つで動作します。実行レベルは init プロセスによって維持されるため、実行レベルは「init 状態」と呼ばれることもあります。システム管理者は、init コマンドまたは svcadm コマンドを使用して、実行レベルを変更します。このマニュアルでは、init 状態を実行レベルと呼びます。

ブートオプション

「ブートオプション」とは、システムのブート方法を表します。

次のようなブートオプションがあります。

  • 対話式ブート – システムのブート方法に関する情報 (カーネルやデバイスのパス名など) を入力するプロンプトが表示されます。

  • 再構成ブート – システムが再構成され、新しく追加されたハードウェアや新しい擬似デバイスがサポートされるようになります。

  • 回復ブート – システムがハング状態になったとき、無効なエントリがあるためシステムが正常にブートできないとき、またはユーザーがログインできないときに使用します。

GRUB ベースのブート特有の用語については、「x86: GRUB の用語」を参照してください。

システムのシャットダウンに関するガイドライン

システムをシャットダウンするときは、次の点に注意してください。

  • システムのシャットダウンには、init および shutdown コマンドを使用します。これらのコマンドは、すべてのシステムプロセスとサービスを正常に終了させてからシャットダウンします。


    x86 のみ –

    Solaris 10 6/06 以降のリリースが稼働する x86 システムでは、電源ボタンを押して離すことで、システムの正常なシャットダウンを開始できます。この方法で x86 システムをシャットダウンすることは、init 5 コマンドを使ってシステムをシャットダウンするのと同等です。一部の x86 システムでは、BIOS の設定によって、電源ボタンを押してもシステムのシャットダウンが開始されない可能性があります。電源ボタンを使用するには、BIOS を設定し直します。


  • サーバーをシャットダウンする場合は、shutdown コマンドを使用します。ログインしているユーザーやサーバーのリソースをマウントしているシステムは、サーバーがシャットダウンされる前に通知を受けます。システムのシャットダウンについては、ユーザーが予定を立てられるようあらかじめ電子メールで知らせておくようにします。

  • shutdown または init コマンドを使用してシステムをシャットダウンするには、スーパーユーザー権限が必要です。

  • shutdown および init コマンドはどちらも実行レベルを引数に指定します。

    もっともよく使用される実行レベルは次の 3 つです。

    • 実行レベル 3 – すべてのシステムリソースを使用でき、ユーザーもログインできます。デフォルトでは、システムをブートすると実行レベル 3 になります。通常の運用で使用されます。この実行レベルは、NFS リソースを共有できるマルチユーザーレベルとも呼ばれます。

    • 実行レベル 6 – オペレーティングシステムを停止して、/etc/inittab ファイルの initdefault エントリに定義されている状態でリブートします。

    • 実行レベル 0 – オペレーティングシステムがシャットダウンされ、安全に電源が切断されます。システムの設置場所を変更したり、ハードウェアを追加または削除する場合は、システムを実行レベル 0 にする必要があります。

    実行レベルの詳細は、第 17 章サービスの管理 (概要)を参照してください。

システムのブートに関するガイドライン

システムをブートするときは、次の点に注意してください。

  • SPARC システムをシャットダウンしたあとでブートするには、PROM レベルで boot コマンドを使用します。

  • x86 システムをシャットダウンしたあとでブートするには、GRUB メニューで OS インスタンスを選択します。

  • Solaris 9 リリースと一部の Solaris 10 リリースでは、x 86 システムをシャットダウンしたあとでブートするには、一次ブートサブシステムメニューで boot コマンドを使用します。

  • 電源を切断した後に再投入すればシステムをリブートできます。


    注意 – 注意 –

    このシャットダウン方法をサポートしている Solaris リリースが稼働する x86 システムを使用するのでないかぎり、この方法は正常なシャットダウンとは言えません。「x86: 電源ボタンによるシステムシャットダウン開始のサポート」を参照してください。このシャットダウン方法は、緊急の場合にだけ使用してください。システムサービスやプロセスが突然終了するため、ファイルシステムに損傷を与えることがあります。この種の損傷の修復作業には手間がかかり、さまざまなユーザーファイルやシステムファイルをバックアップコピーから復元する必要が生じる可能性があります。


  • SPARC システムと x86 システムとでは、ブート時に使用するハードウェアが異なります。これらの違いについては、第 15 章x86: GRUB ベースのブート (参照情報)を参照してください。

システムをシャットダウンする場合

次の表に、システム管理作業とそれに伴って必要となるシャットダウンの種類を示します。

表 8–1 システムのシャットダウン

システムシャットダウンの理由 

適切な実行レベル 

詳細 

停電のためシステムの電源を切断します 

実行レベル 0。安全に電源を切れる状態 

第 10 章システムのシャットダウン (手順)

/etc/system ファイル内のカーネルパラメータを変更します

実行レベル 6 (システムのリブート) 

第 10 章システムのシャットダウン (手順)

ファイルシステムを保守します (システムデータのバックアップや復元など) 

実行レベル S (シングルユーザーレベル) 

第 10 章システムのシャットダウン (手順)

/etc/system などのシステム構成ファイルを修復します

「システムをブートする場合」を参照してください

なし 

システムにハードウェアを追加します (または、システムからハードウェアを削除する) 

再構成ブート (ハードウェアを追加または削除したら電源を切断する) 

『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』「システムへ周辺デバイスを追加する」

ブート失敗の原因となっていた重要なシステムファイルを修復します 

「システムをブートする場合」を参照してください

なし 

カーネルデバッガ (kmdb) をブートして、システムの障害を調査します

実行レベル 0 (可能な場合) 

第 10 章システムのシャットダウン (手順)

ハング状態から回復させ、クラッシュダンプを強制します 

「システムをブートする場合」を参照してください

なし 

カーネルデバッガ (kmdb) を使用してシステムをリブートします (実行時にデバッガを読み込めない場合)

実行レベル 6 (システムのリブート) 

SPARC システムの場合:

「SPARC: カーネルデバッガ (kmdb) を使ってシステムをブートする方法」

x86 システムの場合:

「x86: GRUB ブート環境でカーネルデバッガ (kmdb) を使ってシステムをブートする方法」

サーバーまたはスタンドアロンシステムのシャットダウンの例については、第 10 章システムのシャットダウン (手順)を参照してください。

システムをブートする場合

次の表に、システム管理作業とそれに伴って必要となるブートオプションを示します。

表 8–2 システムのブート

システムリブートの理由 

適切なブートオプション 

SPARC システムの参照先 

x86 システムの参照先 

停電のためシステムの電源を切断します 

システムの電源を再投入します 

第 10 章システムのシャットダウン (手順)

第 10 章システムのシャットダウン (手順)

/etc/system ファイル内のカーネルパラメータを変更します

システムを実行レベル 3 でリブートします (NFS リソースを共有できるマルチユーザーレベル) 

「SPARC: システムを実行レベル 3 (マルチユーザーレベル) でブートする方法」

「x86: システムを実行レベル 3 (マルチユーザーレベル) でブートする方法」

ファイルシステムを保守します (システムデータのバックアップや復元など) 

実行レベル S で Control + D を押して、システムを実行レベル 3 に戻します 

「SPARC: システムを実行レベル S (シングルユーザーレベル) でブートする方法」

「x86: システムを実行レベル S (シングルユーザーレベル) でブートする方法」

/etc/system などのシステム構成ファイルを修復します

対話式ブート 

「SPARC: システムを対話式でブートする方法」

「x86: システムを対話式でブートする方法」

システムにハードウェアを追加します (または、システムからハードウェアを削除する) 

再構成ブート (ハードウェアを追加または削除したら電源を投入する) 

『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』「システムディスクまたは二次ディスクの追加 (作業マップ)」

『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』「システムディスクまたは二次ディスクの追加 (作業マップ)」

カーネルデバッガ (kmdb) を使用してシステムをブートし、システムの障害を調査します

kmdb をブートします

「SPARC: カーネルデバッガ (kmdb) を使ってシステムをブートする方法」

「x86: GRUB ブート環境でカーネルデバッガ (kmdb) を使ってシステムをブートする方法」

フェイルセーフモードでシステムをブートし、システムのブート失敗の原因となっている重要なシステムファイルを修復します 

フェイルセーフアーカイブをブートします 

「SPARC システムでフェイルセーフアーカイブをブートする方法」

「GRUB を使用して x86 システムでフェイルセーフアーカイブをブートする方法」

ハング状態から回復させ、クラッシュダンプを強制します. 

回復ブート 

「SPARC: クラッシュダンプを強制してシステムをリブートする方法」

「x86: クラッシュダンプを強制してシステムをリブートする方法」